なぜ成功した人は、感謝の気持ちを口にするのか

プロジェクトで成果を出した人の口から「周りの方への感謝の気持ち」が非常に多く出てくるということである。冒頭で紹介したスポーツ選手や文化人に限らず、ビジネスの世界でも結果を出す人は「感謝の気持ち」を本当によく口にする。そして面白いことに「周りへの感謝の気持ちを具体的に語れる人」ほどその後も継続的に結果を残すことができているのだ。

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2011/11/29  Business Media 誠 より

なぜ成功した人は、感謝の気持ちを口にするのか


「ありがとう」「ごめんなさい」「許して下さい」「愛しています」の言葉を繰り返す ホ・オポノポノとは?

悩むビジネスパーソンへの“処方せん”:

 「支えてくれた周りの方に感謝したい」――。スポーツ選手や文化人などが成果を出した時に、よくこうした言葉を発する。

 読者の中には「このコメントはどのくらい本音なのか?」と感じたことがある人もいるのではないだろうか。なぜ成果を出した人は「感謝の気持ち」を口にするのか、そしてそれはビジネスの世界でも同じことが言えるのか。本コラムではビジネスにおける「成果創出と感謝の気持ちの関係性」についてお伝えしていきたい。

●成果発表会という晴れ舞台で

 私がコンサルティングを担当する企業ではプロジェクトが終了したタイミングで「成果発表会」を実施してもらっている。「成果発表会」とはプロジェクトに参加していたメンバーが期間内に取り組んだ内容や成果のほか、プロジェクトから学んだことなどを資料でまとめて発表する会である。

 多くの会社の発表会に参加していて気付くのは、プロジェクトで成果を出した人の口から「周りの方への感謝の気持ち」が非常に多く出てくるということである。冒頭で紹介したスポーツ選手や文化人に限らず、ビジネスの世界でも結果を出す人は「感謝の気持ち」を本当によく口にする。そして面白いことに「周りへの感謝の気持ちを具体的に語れる人」ほどその後も継続的に結果を残すことができているのだ。

●「感謝の気持ちを持つ人」の2つのアドバンテージ

 「感謝の気持ち」を強く持つ人を見ていると、そうでない人と比べて2つのアドバンテージを持っていることが分かる。

 まず1つ目は「周りからの協力を得やすい」ということである。ビジネスにおいては自分1人で実現できることは限られており、いかにして同僚、関係先、顧客からサポートしてもらうことができるかが成果を大きく左右する。「感謝の気持ち」を強く持つ人は、日頃の態度や発言において必ずその気持ちが表れる。したがって、周りの人は彼に対して「協力してあげたい」という強い気持ちが働き、成果が出やすい状況ができあがるのだ。

 2つ目は「勝ちパターンを自分自身で演出できる」ということである。「感謝の気持ち」を強く持つ人は「自分に関わる周りの存在を強く理解している人」であり、自分の状況をより客観的に見ることができる人でもある。そして「周りの力がどのように作用して、自分が成果を出せたのかが分かっている」ということでもある。

 例えば、自分が関わっているプロジェクトが成功した時には「同僚のAさんがプロジェクトが計画通り進むようにサポートしてくれた」「関係先のB社がうまく資料をまとめてくれた」「上司のC部長が組織的な調整をしてくれた」などと感謝する。その一方で「自分が発揮できた強みはアイデアを出すことだけだった」といった感じで、周りの力と自分の力を客観的に把握できるのである。

 何か新しいことをする際にも「自分にできること」「自分にできないこと」「自分にできないからこそ周囲にサポートしてほしいこと」が明確であり、物事がうまくいくように自分の周囲の環境を整えることができる。結果として、彼が関わる仕事は成果に結びつきやすくなるのである(勝ちパターンの自身による演出)。

 逆に、周囲への感謝の気持ちが薄く、自意識過剰な人たちは違う。彼らは「自分に能力があったからこそプロジェクトが成功した」といった考えに陥りがちだ。

 「感謝の気持ち」を強く持つ人は2つのアドバンテージを持つ。その上で「成果創出と感謝の気持ちの関係性」を見ると、「感謝の気持ちを強く持つ人は成果を創出しやすい土台ができている」ということが分かる。

●「感謝の気持ち」のアンテナを高める方法

 人間関係だけでなく、成果創出という点においても「感謝の気持ちを持ちたい」という人も多いのでは。しかし「周囲への感謝の気持ちを持とう」と、ただ意識するだけでは変化が起きないのも現実である。

 次に、感謝の気持ちを高める具体的な方法を紹介したい。

 ある会社では半期に1度、全社員で「ありがとうカード」を書くタイミングを作っている。「ありがとうカード」とは、自分がサポートをしてもらったと感じる社内の人に対して、「感謝の気持ち」を一言書いて渡すカードである。そして、この会社では半期ごとの全社集会で「ありがとうカード」に基づいた表彰式を行っている。

 ここで重要なのは多くの「ありがとうカードをもらった人」を表彰するとともに、多くの「ありがとうカードを書いた人」も表彰し、賞賛の対象とすることである。多くのカードを書けるということは、周りの人のサポートを感じ取ることができている証拠でもあるからだ。会社がこの賞を設定したことで、普段から“感謝の気持ち”といったアンテナを張り巡らせる人が増えていったのである。

 周りの人への「感謝の気持ち」が大事なのは当たり前と感じながらも、なかなかその意識を持てずにいる人や組織は多い。物事で成果を出すために感謝の気持ちを持つ、というのは少し打算的に感じるかもしれないが、「感謝の気持ちを持つべき」という正攻法だけでは変わらないのも事実である。

 まずは「最近の自分自身の成果」を思い出し、「周りの人がいかにサポートしてくれたか」を客観的に振り返ろう。そうすれば「感謝の気持ち」を持つことへの、第一歩となるのではないだろうか。
(インタープライズ・コンサルティング、関厳)








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